闘覚院機魂寛道居士

ブログ

 先日、79歳で燃え尽きた闘魂、アントニオ猪木さんの戒名です。氏の破天荒なご活躍や幅広い実績は追悼番組等メディアでも語りつくされています。個人的にも猪木は私が心底憧れたスーパースターであり、彼の生き様や言葉にどれ程多くの人々が救われてきたか、についてはまだ十分に伝わっていない気がします。「人生は挑戦の連続である」と語った英雄は、最後の最後まで我々に勇気を与えながら、今や天に昇って本当の星になりました。

 リング上で放っていた猪木の輝きは別格でした。1,500円の自由席チケットを握りしめた中学生の私が座る蔵前国技館の一番後ろの席にまで十分届く程の圧倒的な華と磁力。遠目で人形サイズの猪木が花道を通り、紹介アナウンスに合わせてガウンを脱いで両手を高々と挙げるだけで、会場の熱気は最高潮に達するのです。その後目にする試合での一挙手一投足と表情、更には全身から発するエネルギーには、ある種宗教的な魅力がありました。

 また、ナイーブだった当時の私がつまらないことに悩んでいた時、プロレス仲間のY君が貸してくれた本が「苦しみの中から立ち上がれ」という名著です。猪木は50年前から環境問題に目をつけており、サトウキビ滓からリグニンを抜いて牛の餌にするという完全循環システム実現を目指し、その事業は見事に失敗しました。アリ戦の興行赤字も合わせて莫大な借金を負うことになった時に彼は言いました。「まだまだ、小せい、小せい!」

 引退後に猪木が残した名言もあります。「なんでも金で手に入れられる時代になった。地位も名誉も、愛さえも。でも決して金では買えないものがある。それがダンディズム。」おそらく、自分の想いをやせ我慢しながらでも実現する姿勢のことだと解釈できます。だからこそ、彼が亡くなる間際まで描いた夢には今も共感しつつ、希望を感じます。「俺はね、世界中のごみを消したいんだ。」私にとって、貴方は最後まで人生のお手本でした。合掌。(T)

タイトルとURLをコピーしました