海の向こうで戦争が始まる

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 朝のテレビニュースを観てから義父と散歩に行った際、爽やかな秋晴れの空の下いつもの平和な光景を目に心に浮かんだ言葉です。村上龍さんが45年以上前に書いた小説のタイトルであり、初めて読んだ時にはその執拗にグロテスクな描写に不愉快になった覚えがあります。海の向こうで始まる戦争の残忍な映像を観て、「でも、あたし達は別にいいのよ」と口にするフィニーという登場人物のセリフは鮮烈であり、その説得力は圧倒的です。

 コロナ禍で騒いだ国内メディアが取り上げるテーマは、反社会的なエセ宗教や芸能界のヘンタイ関連に偏っており、それ自体が家族や会社、私自身に全く関係ない話なので興味を持てません。被害者が可哀そうだなぁという感想はあっても、私の感情は何の助けにもならないし。ただし、戦争の場合、例えば今般の中東での出来事がイランにまで及べば、グローバル経済のリアリズムや近隣諸国との紛争摩擦を通じて、私の生活にも影響が及びます。

 殺し合いをしている戦争当事者、特に家族を惨殺された人の気持ちを受け止めることは不可能であり、「戦争は早く止めましょう」という報道や個人の想いが無意味なことは容易に想像されます。ただ、村上さんは別の小説のあとがきで言いました。「楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。私はその戦いを今も続けている」。パラレルワールドとも呼べる現代で正常な意識を保つための方策は、それしかないのかもしれませぬ。

 例えば金曜日には花を買って、少しお高めのワインを買い、お気に入りの食器で食事を楽しみましょう。ラグビーやサッカー等スポーツの国際試合を観戦して、無邪気に興奮して喜びましょう。能力や知力が高いとは言えない政治家達等第三者が我々の生活環境を良くしてくれるとの幻想は捨て、自ら成果を残せる「道楽としての仕事」を通じて社会に貢献しましょう。その姿勢が巡り巡って、もう少し良い世界を創っていけるならいいなぁ。(T)

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