六甲おろしの誘惑

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 小学生の頃から親父ゆずりの巨人ファンで、江川・原の時代から先発三本柱、松井・上原とスター選手を追いかけて球場に通い、「報知新聞こそが正義の新聞」と信じて大人になりました。当時はむしろ他球団ファンの友人達は何か問題を抱えているではないかと心配する立場でしたが、松井がヤンキーズに去ってからはMLBを追いかけ、彼の引退後はニュートラルな野球ファンとして、プロ野球は機会があれば観る位の感じで20年程が経ちました。

 そんな私が今、気になって仕方ないのが阪神タイガースの行方です。矢野監督は私と同じ52歳。野手で明らかに一流と言えるのは近本と百歩譲って糸原だけで、4番大山の守備は高校野球レベルで、外人のマルテやロハスJrもまぁまぁ、捕手の梅本は勝負強いけど打率は二流で新人中野の台頭は心強いものの、佐藤に至っては60打席連続ノーヒットという即引退してもおかしくない記録を打ち立てました。そんな彼らは何だか、可愛いのです。

 ピッチャーでは10勝クラスの人材がゴロゴロ居るものの、いわゆるエースは見当たりません。それが突然、9月になって台頭してきたのがエース候補の高橋遙人、なんと26イニング連続無失点中です。先日の巨人戦で右バッターのインコース低めに最高の球を投げ続け、見逃してもストライクの球をミートが上手い坂本が空振りして膝をついた姿を観た際は痺れました。中継ぎ、抑えはアルカンタラ、及川、岩崎、スアレスと球界最高水準也。

 そんなタイガースは現在セリーグ2位に付けており、ヤクルトスワローズとマッチレース中。あんなつまらないチームは一気に飲んで優勝することが彼らの使命です。その先には、球界のエース山本を擁するオリックスとの関西対決が観られるかも。えっ、お前まさか阪神ファンだろって、違いますよ。ただ、もしかしたら毎朝の出勤時、マンションの入り口に吹き付ける六甲おろしの誘惑に若干心が揺れているのかも、です。まぁ、知らんけど。(T)

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