滅多なことでは腹も立たない人格者の私が、テレビから流れてもいちいち苛立つのが、「不要不急」という馬鹿げた言葉です。生きていくために不要不急じゃない外出なんて、そもそもほとんどありません。病気の方々や介護が必要な方々を除き、安値の加工食品を買い込んで水飲んで自宅に引きこもってスマホを見てれば死にはしないし、最悪生活保護がありますと言われりゃあ言い返せません。でもそれは、人間の生活ではない。
我々にはもっと大切なことがあります。仕事はお金のためだけにする訳じゃないし、オンライン画面上で完結する人間関係は奇妙です。レストランでお料理を食べてサービスを受けたり、旅行先の空気を吸いながら身体を動かしたり、特別な能力を有する芸術家やアスリートのパフォーマンスを直接感じて感動を覚えることは、それ自体が生きがいにもなります。だからこそ、外食や旅行、音楽やプロスポーツ等は尊いし、その担い手を評価して護ることは我々の責務です。
今だから告白しますが、緊急事態宣言が開ける前から、私は地元神戸の岡本というおしゃれな街で、ジャズライブを開催する喫茶店に通ってます。イギリスでスコーンの作り方を勉強してきた芦屋マダムが旦那様と一緒に営業してる、こじんまりとしたおしゃれなお店です。奥様の人脈で様々なイベントを開催しており、ジャズライブの際には美味しいお料理を伴ったおもてなしをしてくれます。ちなみにお店の名前は、辰巳茶房。
今月20日の公演は、サックスとジャズヴォーカルをこなすMASAXさんとオルガン奏者小野みどりさんのセッションでした。MASAXさんは何と妊娠９ヶ月半の身重で、旦那様や虫かごを持った息子さんを連れての演奏でしたが、それがカッコいいのなんのって！（≧∇≦）プロの演奏と声を間近で感じることで、日常を忘れて生きている自分を実感できました。私にとっては不要不急どころかとても大切な時間を、これからも勿論大切にするつもりです。コロナ禍がどうであれ、世間が何と言おうとも。（Ｔ）
