先々月、本社出張の機会に、北九州市エコタウンセンターの見学会に参加してきました。資源循環に関わる上で、実際のリサイクル現場を自分の目で見る機会は貴重で、解体・分解の現場を見ると学ぶことがたくさんあります。今回は自動車リサイクル、OA機器リサイクル、再生木材製造、そして洋上風力発電まで、幅広い現場を見学することができましたので、その様子をご紹介します。
北九州市エコタウンセンター
北九州市エコタウンセンターは、北九州エコタウン事業を総合的に支援するための中核施設であり、環境学習施設として、事業の紹介や展示、エコタウン内のリサイクル工場や風力発電等の見学案内などを行っています。
今回は見学会の最初にエントランス展示にて、立地の背景やエコタウン内に集積する各企業について説明を受けました。

西日本オートリサイクル株式会社
西日本オートリサイクル株式会社は、使用済み自動車(廃車)の引き取りから適正解体、部品・素材のリサイクルおよび販売までを一貫して行う企業です。全国でも珍しい「シュレッダーレス解体システム」を採用しており、手作業と解体機を組み合わせて素材ごとに徹底的に分解することで、高いレベルでのリサイクルを実現しています。
今回の見学では、約60mにおよぶ解体ラインを見学し、手作業によるパーツの取り外しやガラスの回収作業などを間近で見ることができました。取り外されたガラスは同エコタウン内のガラスリサイクル施設へ、鉄スクラップは製鋼工場へ送られて自動車部品へと生まれ変わるなど、水平リサイクルが実現されている点が印象的でした。処理台数は年間約6,000台(最盛期は8,500台)で、近年は中古車市場の変化により軽自動車の処理が中心になっているとのことでした。
株式会社リサイクルテック
株式会社リサイクルテックは、OA機器等を引き取り、材質・材料ごとに手分解・手選別を行うことで再資源化を進める企業です。解体現場では品目ごとにブースが分かれており、1台ずつ丁寧に手作業で解体・分別が行われています。取り外された部品は二次分解先や再資源化施設へ出荷されるほか、施設内には破砕設備もあり、プラスチックなどは破砕された上で出荷されます。また、OA機器や事務機器に含まれる機密部品については、物理的に破砕することで情報漏洩を防止する対策が取られており、月間の処理実績はOA機器で300台弱とのことでした。
解体作業を通じて就労支援に取り組んでいるほか、地域の子供たちを対象とした小型電子機器の解体ワークショップも開催されてたことがあり、地域とのつながりを大切にした取り組みが印象に残りました。さらに、別工場では日本初となる技術を用いた太陽光パネルのリサイクルも行われているとのことで、同社のリサイクル技術の幅広さがうかがえました。
株式会社エコウッド
株式会社エコウッドは、廃木材と廃プラスチックを原料とする再生木材「エコMウッド」を製造・販売する企業です。木質感がありながらささくれやとげが発生せず、経年劣化による腐れや蟻害もほぼ受けないという特性を持っており、公共施設のベンチや外壁材として広く利用されています。実際に、エコタウンセンター外にあるベンチにもエコMウッドが使用されており、設置当時から劣化していない様子を確認することができました。
製造工程では、受け入れた廃木材を粉砕し不純物を除去したうえで、廃プラスチックと混錬してペレット化します。この混錬・ペレット化の工程には高度な技術が求められるため、熟練の職員の方が対応しているとのことでした。

北九州響灘洋上ウインドファーム
北九州響灘洋上ウインドファームは、2025年度に完成したばかりの洋上風力発電所です。海水面からの高さ200m、ローター直径174mという超大型の風車が25基設置されており、最大出力22万kWを誇る国内最大規模の洋上風力発電所です。風車は海底にジャケットと呼ばれる柱を打ち込んで固定する「着床式」タイプが採用されており、海底に伸びる送電線を通じて陸上の変電所で変圧・調整が行われています。発電量は一般家庭約17万世帯分に相当し、これは北九州市の世帯数の約4割にあたるとのことでした。
海岸から見学した際は、風車まで数キロほど離れているにもかかわらず非常に大きく見え、その迫力に驚かされました。見学当日は曇り空で、雲が風車の頭上にかかっており、幻想的な光景が広がっていたのも印象的でした。
なお、響灘沖での風車設置は海域の関係上これ以上増える予定はないとのことですが、風車を支えるジャケットは地元企業(日鉄エンジニアリング)が製造しているほか、洋上風力発電設備の設置や荷出しに対応するため超重量物に特化した基地港湾の整備や、風車の維持管理を担う人材育成事業も進んでいるとのことで、地域全体で風力発電関連産業の拠点形成に取り組んでいることがうかがえました。
今回の見学会を通じて、北九州エコタウンにおける様々なリサイクル技術や再生可能エネルギーの取り組みを、実際の現場で肌で感じることができ、大変貴重な経験となりました。丁寧にご説明・ご案内いただいた北九州市エコタウンセンターの皆様、そして各企業の皆様に心より感謝申し上げます。(Y.A)





