「タフネス」が持つ説得力

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 私の友人達を含む米国両岸のアッパーミドル層以上は、概ね民主党支持者です。人種や出自、宗教を問わず公正な社会を望み、自由主義や機会の平等を前提とした「勝ち組」としての自分達の立ち位置の正義を信じます。結果、知的で雄弁でハンサムなバラクオバマは大統領になれたし、妻ミシェルは誰より愛されています。そんな彼らにとって、古き良きアメリカの伝統の名の下、「負け組」を束ねているトランプ前大統領は悪魔的な存在です。

 そのトランプが銃撃され、直後に血まみれの顔で拳を突き上げた映像は、世界中に衝撃を与えました。耳を撃ち抜かれた78歳の老人の「タフネス」は驚異的であり、バイデン大統領の病状に悩む米国民主党員も敬服する姿を見せたのです。リーダーに求められる5つの条件のうち、「知力」と「自己制御力(≒稲盛さんが唱えた私心の無さ)」は絶望的に欠けた方ですが、持ち味の「肉体的強靭さ」に加えて「説得力」を獲得したのです。

 更にアメリカファーストという「持続的意志」は明白で、決してブレません。国境を閉じて既存米国人の賃金水準と治安を護ること、外国からの直接投資を増やしてエネルギーを含む国内製造業の雇用を増やすこと、現時点ではまだどこにも負けない経済力と軍事力を背景に同盟を含む他国と交渉して有利な交易条件や妥協を得ること。要はインテリが嫌悪するアンチグローバリズムですが、非白人を含む中西部の票こそが選挙を左右します。

 リーダーの条件を3つ満たすトランプが、11月の大統領選で勝つことは確定的です。無論、選挙をお祭りであり商業資産ですから、米国内外のメディアは「これからも何が起こるかわからない」と報じ続けるでしょうが、実質的には終わったのです。日本では、トランプ政権が得か損かとの無意味な議論がありますが、彼の政策を前提に考えれば、政策的な方向性は明確でしょう。一言で言えば同盟国を頼り過ぎないこと、に尽きるのです。(T)

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