鯤を求む ~釣り師 來田仁成さんを偲んで~

ブログ

鯤(こん)とは、中国古代の想像上の大魚で北の海にすみ、大きさは数千里あるという。

鯤(コン)とは? 意味や使い方 - コトバンク
デジタル大辞泉 - 鯤の用語解説 - 《「荘子」逍遥遊から》中国古代の想像上の大魚。北方の大海にすみ、大きさは幾千里だかわからないという。

本ブログのタイトル「鯤を求む」は來田仁成さんが『関西のつり』(岳洋社、平成28年5月廃刊)に連載していたコラムのタイトルです。初めてこのコラムを読んだときには、鯤って魚いたかな?どんな魚だろう?と辞書で調べたことを覚えています。

來田さんは、関西で釣り情報を業としたはじめての方だと思います(昭和42年テレフォン釣り情報センター開始)。各新聞・雑誌での執筆やテレビ・ラジオへの出演、乗合船やイカダ釣りの普及、落とし込み釣りの開発などで釣りブームを牽引されました。さらに、釣り人のバイブル『週刊釣りサンデー』の初代編集長(昭和51年創刊)。まさに釣り業界のレジェンドです。

近年は公益社団法人全日本釣り団体協議会副会長理事、大阪府釣りインストラクター連絡機構代表、NPO法人釣り文化協会代表理事を務めるなど、釣り人の地位向上と釣り文化の継承に尽力されておられました。

私は15年ほど前に父の紹介で知り合い、大阪湾の沿岸で活動する市民団体の緩やかなネットワーク組織である「大阪湾見守りネット」の設立にご協力いただき、同ネットワークの副代表を務めていただくなど、親子でお世話になった大恩人です。

そんな來田さんが令和元年6月22日に永眠されました。享年81歳。亡くなる2日前まで朝日新聞の釣りコラム「とれとれ魚信」の原稿を執筆されていたそうです。10月5日に大阪で來田さんを偲ぶ会が行われ、來田さんの想いを受け継いだ方々と思い出話に花を咲かせました。

知り合った頃「海は誰のものでもない。その海で釣りをさせてもらっているんやから釣り人も海を守る一員でなければならない。」と仰っておられた優しい口調が思い出されます。

さて、タイトルに戻りますが「鯤を求む」の連載第1回(平成12年1月1日発行)に來田さんは次のような説明文を添えておられます。

鯤(こん)とは想像上の大魚の名、鵬と対をなしてこのうえもなく大きなもののたとえです。

ただし、決して巨大魚釣りを志しているわけではありません。

読者のみなさんとともに、とてつもなく大きな夢を求めようというお誘いのつもりです。

來田さんが釣り人の地位とマナーの向上をめざし、次の世代に「つりごころ」を伝えるための大きなメッセージをいただいたように思います。

私は8月で北九州に来て10年が経ちました。釣りに行く心の余裕がない日々ですが、これからも私の「鯤」を求め続けていきたいと思います。

來田さん本当にありがとうございました。天国で釣りを楽しみながら見守っていてください。(M)

201910090310187591.jpg

タイトルとURLをコピーしました