戦後の歌人に河野裕子がいます。河野は多作で知られその生涯に6585首もの作品を残し、そのどれもが歌を届けたい対象への深い愛情に溢れています。歌集 『紅』に収録された一首をご紹介します。
『朝に見て昼には呼びて夜は触れ確かめをらねば子は消ゆるもの』
寝ても覚めても子を想う母心を詠んだ歌ですが、最近はこの歌の意味を改めて考えさせられます。
子供に限らず、大切な人が「いってきます」と言ったまま帰ってこなかったという、あまりにも痛ましい事件が最近続いています。
家族や友人が不幸な事故に巻き込まれたら…と考えると居ても立っても居られなくなり「応急手当講習会」を受講することにしました。
「応急手当講習会」とは消防署の指導員が行う、全国的に統一された内容の応急手当の講習会のことです。地域に消防署で受け付けています。
講習会の種類は、救命入門コース、普通救命講習(1~3)、上級救命講習があります。
時間は救命入門コースは1時間30分、普通救命講習は3~4時間、上級救命講習は8時間! 実技試験と筆記試験が含まれる講習もあります。
私が3時間の普通救命講習を受講しました。土曜日の朝9時という早い時間にも拘らず小学生から高齢者まで15名が参加しました。
最初の30分間はビデオで救急救命の重要性について学び、残りの時間は人形を使っての応急処置の実習です。
実習内容は救命処置(胸骨圧迫と人工呼吸)、AEDの使い方、止血法、異物除去法ともりだくさん。
こぼれ話ですが、最近は心臓マッサージではなく胸骨圧迫というらしいです(実際に即した呼び方にしたそうです)。
講習を終えると修了証(救命入門コースは参加証)が授与されます。
3時間しっかりと講習を受けた上にテキストや修了証まで貰えて、参加費無料です。
救急車を呼んで到着するまで平均で9分。心停止から何もしなければ9分後の蘇生率は10%、居合わせた人が救命処置をすれば蘇生率は2倍以上になります。
「応急手当の技術は本日学びました、あと必要なのは勇気だけです」
万が一の場面に遭遇して、自分はとっさに動けるだろうか…。
指導員の方のお言葉がとても重く感じられました。(KS)