フォーマットとディテール

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 「イチケイのカラス」というドラマが大好きなので、映画を観に行きました。「型破りな主人公と生真面目な若手が反目し合いながら段々本当のバディになって、やがて周辺の個性的な面々も巻き込みつつ、最後は国家権力にまで挑む」という構図は典型的なフジテレビドラマ。あの名作「HERO」と全く同じで、舞台は裁判所、主人公の趣味は、通販の代わりにふるさと納税、宿木的な溜まり場はバーの代わりに蕎麦屋、という設定も似ています。

 完全な焼き直しじゃーん、とは言うなかれ。ドラマ「イチケイのカラス」は、犯罪者側の動機付けが極めて複雑で、勧善懲悪で裁けないエピソードも多いのです。主人公は私世代の代表的イケメン、竹野内豊さんですが、ファッションや仕草で「ダサくてとぼけた風の法に真摯な裁判官」を見事に演じています。相方を演じる女優、黒木華さんは、「上昇志向の強い学級委員タイプの秀才」が見事にはまっています。結果、物語の印象は全く変わるのです。

 要はフォーマットが同じでも、ディテールが異なれば、素晴らしい別の作品が生まれます。我々コンサル業も同様で、背景・目的・課題・手法・調査分析・ソリューション提示、というフォーマットは概ね変わりません。ただし、顧客次第でディテールは全く異なるため、案件毎にもがいて悩みながら、成長と発展のお手伝いをしています。ちなみにフォーマットに即したプロット設計は経験、ディテールは個人の感性と技術が成果の出来を左右します。

 映画の件に戻すと、正直、期待にそぐわない出来でした。おそらく、大勢のスペシャルゲストへの配慮が必要な大人の事情で肝心のプロットが乱暴になり、ディテールへのこだわりが足りなかったから。綺麗な顔の俳優達が次々に熱演しているので退屈はしませんが、何も刺さるものはありませんでした。大袈裟に言えば「神は細部に宿る」ってそういう意味かも。私自身、ディテールに拘る姿勢と体力を失ったら、引退する覚悟です。(^^♪(T)

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