先日、久し振りに恩師とお会いしてお話する機会があった。
懐かしさついでに先生に習った石の話題を少し。
鉱物とは地球科学分野での専門用語がある。国際鉱物学連合の鉱物の定義では、①結晶質の固体であること、②自然に生成されること、③無機物であること、④ある特定の化学組成を持つこと、とされている。この定義に従えば、冬に水たまりに張る氷は鉱物であり、冷蔵庫でできた氷は鉱物ではない。出来るものは全く同じでも、出来方によって鉱物かそうでないかが決まるのである(残念ながら、鉱物でない氷を指す言葉は存じ上げない)。
鉱物の成り立ちや物理化学的性質を明らかにする学問分野を鉱物学という。しかし、鉱物学がまことに厳しい学問分野であることはあまり知られていない。生物学と比較するとわかりやすい。生物はこれまで記録された数だけでも百数十万種に上ると言われているのに対して、鉱物はこれまでにたった約4000種しか見つかっていない。単純に新種発見の確率だけで言えば、生物学を1とすると0.004以下となり、ほとんど不可能な数字である。しかも頑張って新種を見つけたとしても新種鉱物に自分の名前は付けられない決まりなのである。実際には人名が鉱物名になることはよくあるが、それは自分以外の誰かが新鉱物を発見したときに自分の名前を付けてくれたということである。
12月13日(金)~16日(月)に第28回東京ミネラルショー2019が東京・池袋のサンシャインシティーで開催される。日本最大の鉱物・化石・隕石・宝石・天然石アクセサリーの祭典である。会場は石・石・石で埋め尽くされて文字通りの『玉石混淆』だが、本来の意味とは異なり、会場には宝石よりも高価な石がゴロゴロしている、、、石だけに(笑)
この冬、皆さんもめくるめく鉱物の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか(KS)。