福島クイズ

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思い入れのある話なので、やや長文になります。連休前の4月22日~23日、毎年恒例の全国菜の花サミットに参加するため、福島県南相馬市に行って参りました。

復興に取り組む地元高校生や病院スタッフ等からの事例報告が行われた中、特に印象に残ったのが立命館大学衣笠総合研究機構の関沼博准教授からの「原子力災害の現状とその向き合い方」というご発表でした。先生は「福島を知るための15問」を全国から集まった参加者に投げかけました。ここで先生からのクイズとその回答の一部を抜粋します。

Q1.福島県の人口が100人だとすると、現在の県外避難者は?⇒A.1.9人

Q2.福島県で年間1,000万袋作られる県内産米のうち、放射線量の法定基準値を超えるものは?⇒A.0袋

Q3.福島県の観光客は2010年100%とすると、2014年は何%?⇒A.87.9% ※修学旅行と外国人の減少分

Q4.3.11後の福島では中絶や流産は増えた?離婚率が上がった?⇒A.共に×

Q5.福島県内で立ち入り出来ない帰還困難区域は福島県全体の面積の何%?⇒A.2.4%

Q6.原発から20km地点にある広野町の人口は3.11前で5,500人、現状は?⇒A.5,000人以上

Q7.2015年度の福島県予算は、3.11前に比べて何倍?⇒A.1.9倍

Q8.福島県の震災関連死は2015年3月末までに、延べ何人?⇒A.直接死:1,612人、関連死:2,700人

こうした客観的な情報や現地の人々とのやりとりを通じて感じたことがあります。「フクシマ」というカタカナ表記により、忌まわしい津波や原発事故の甚大な被害ばかりが強調されることで、地元ではほとんどの人々が様々な痛みに耐えながらも生活を営んでいるという事実を見落としていたことです。

例えば市役所が所在する原ノ町駅周辺は、国道6号線よりも西に位置しているため、津波は届きませんでした。無論、震災直後から住民の方々は着の身着のまま一時強制避難させられましたが、5月には多くの方々が帰還して日常生活を再開しています。昨年7月にようやく避難指示解除となった小高駅周辺でさえ、除染等の爪痕が残る閑散とした景色の中に、学生たちが笑顔で通学する姿が見受けられました。

「壊滅的被害」という表現は思考停止を生みがちです。悲惨で甚大な被害があったことは事実ですが、現地の生活が壊滅した訳ではありません。その内心はともかく、地元の人々は生活を営みつつ前向きに復興に向けた具体的な取組を進めています。その現状認識を前提に、これからどんな順番で誰に何が出来るのか、を考えながら実行するべき時が来ています。

例えば藤井代表をはじめとする菜の花プロジェクトネットワークのメンバーは、被災直後から南相馬入りして、はじめは怪訝に受け止められても徐々に地元の人々を巻き込み、津波に襲われた農地に菜種を撒きました。今やその栽培面積は70haを超えており、採取した菜種を原料にした菜種油は「油菜ちゃん」というブランド名、英国生まれの自然食品会社LUSHとの連携で開発された石鹸は「つながるオモイ」というブランド名で、それぞれ販売されています。(菜種への放射性物質残量は科学的・実証的にゼロです。是非、ご購入ください。)

南相馬市の櫻井市長は、「百姓の心を持った侍」です。市長を支える田林副市長もエネルギッシュで優秀な実務家であり、地元行政の体制は盤石と言えます。あとは周辺からの的確で息の長い支援があれば、必ずや新しい南相馬市の姿が見えてくるものと確信しました。私自身も、自分なりのやり方でどんなことが出来るのか、冷静に考えて実践していこうと心に決めています。(T)

追記:菜の花が咲き誇る南相馬の現状をご覧ください。(^^♪

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