不良中高年の矜持

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 「はじめまして、ジャニー北野川です。」ビートたけしさんが、外国人記者クラブでのつかみに使った挨拶です。この時期賛否あるようですが、76歳になっても自分の立ち位置を失わない、昔ながらの芸人としての矜持を感じさせる発言でした。別に皆に好かれて尊敬されたい訳じゃないよ、俺は俺のやり方でやりたいことをやって最後は野垂れ死んでやる、という意志表示に他なりません。さすがは殿、昭和生まれ不良中高年のかがみ、なり。

 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域。」元総理の小泉純一郎さんは、イラク特措法の非戦闘地域をしつこく問われた国会の党首討論で答えました。失笑が漏れてメディアに批判もされましたが、私はかっこいい政治家だなぁと感心した覚えがあります。理を尽くした議論で日本のために必要と判断した法律の運用で足を引っ張る野党に、お前らに説明しても無駄だよ、との想いで発言した元総理はおそらく最後の不良政治家でした。

 「士農工商SF作家。」天才小説家の筒井康隆さんは、自らや仲間たちの文壇での地位の低さを嘲笑って執筆しました。ただ、出版社が不穏当だからと校正を入れてきた際、怒って一時期断筆宣言に至りました。本来小説ではエログロナンセンス含め、完全な表現の自由が守られるべきと信じる不良作家らしい発想です。学生の時にゲラゲラ笑いながら読んだ「俗物図鑑」というスプラスティック作品など、今や残念ながら出版もできないでしょう。

 「埼玉県人にはそのへんの草でも喰わせておけ。」極めて不穏当な差別発言ですが、このセリフがある映画は、これほど息苦しくなった時代でも不思議と批判されず、素直に笑いとして受け入れられました。そしてシリーズ第二弾「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」が近日公開されます。もしかしたら、不良中高年の矜持を守りつつ自分らしく生きていくためのヒントがあるかも、と期待しながら映画館に行く予定です。(T)

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