「ジョブ型雇用」という幻想

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コロナ禍の第三波を迎えた現在、メディアでは「冬になれば陽性者や重症患者が増加することはわかっていたのに、なぜ医療崩壊のリスクを避けることができなかったんだ~!」といった評論家や政治家のコメントが溢れています。視聴率やお金目当てで大衆ウケしそうなことを主張してるならまだ救いがありますが、仮に本気で言ってるなら、経営者目線で物事を考えたことが全くないからとしか考えられません。急速に変動する感染状況の先を見て完璧に対応するなら、感染拡大前から予めピーク時に対応可能な医師や看護師を確保して、それまでは遊ばせておくしかないのです。例えばワクチンが確立するまで、税金を使ってでもそれが出来るのか?というのが我々国民に問われるテーマです。

在宅勤務の増加等をきっかけに、いわゆる「ジョブ型雇用」導入が真面目に議論されています。予め「ジョブディスクリプション」に則って成果と報酬を定めれば、皆がもっと自由で効率的な働き方が出来るはずだ、と。個人的には、医師や看護師の不足が顕在化しているのを目の当たりにしている中、そんな主張自体意味不明と言わざる得ません。例えば医療分野で求められるような高度なプロフェッショナル人材ほど、短期的な報酬の上乗せ程度で突然採用することが困難であることは当たり前です。仮に短期的な報酬が2倍になるとしても、ピークが過ぎればすぐにお払い箱になるような雇い方で、信頼出来る人材を集められるはずはないのです。

当方が大学を卒業する頃はバブル最終段階で、アルバイトで「40万円/月」超の収入を得ている人達が沢山居ました。田中康夫さんの造語である「社畜」を引き合いに、「今時、何をやっても食べていけるんだから、収入減らしてまで新卒で会社の歯車になるなんて意味分からない」と言ってフリーターになった友人もいました。彼が今何をしているかはわかりませんが、根本的な認識が間違っています。雇う側目線から見れば、短期雇用のアルバイトこそが使い捨て可能で最高に便利な歯車に過ぎません。「ジョブ型雇用」は、景気変動に応じて給与水準を調整する発想であり、その拡大は幻想です。時給を上げればいつでも集まる人材を大切にして投資するお人好しの経営者は、存在しません。

皆様ご存じの大学教授兼大手人材派遣会社会長はおっしゃりました。「解雇できない人材なんて、経営者は雇えないですよ。」コンサル会社を営む私に言わせれば的外れです。経営者の役割は、仕事の量に合わせて人を雇うのではなく、雇った人の数や支払い給与水準を守るために仕事の量を確保することにあります。その覚悟がないなら、人を雇って経営なんてしなければ良いのです。優秀な人材を直接雇用する当社では、会社都合で人を減らすことはあり得ません。決してナイーブで優しい想いからではなく、「人財」を確保しながら生き残るのための冷徹な現実解はそれしかない、と考えるからです。お陰様で今も、優秀な社員達の囲い込みや売上確保がとても上手く廻っていますよ。(T)

※写真は本文とは全く無関係ながら、神戸サテライトがあるコワーキングスペースに訪れる小学生とのメッセージのキャッチボールです。一度コンビニに連れて行って、よっちゃんいかとチョコレートを買ってあげて以来、なついてくれてます。利発で明るい子だし、いずれは当社で雇いたいなぁ~。少子高齢化が進む中、優秀な「人財」確保はそれ位長期的に考えなきゃ、です。(^o^)

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