今年の初場所、生まれて初めて大相撲観戦をしてきました。両国国技館の正面中央枡席二列目、鍛え上げた力士達が文字通り目の前で身体をぶつけ合う迫力は本当に凄かった。。。無論、土俵での取組だけでなく、呼び出しや行司の所作や声、お茶屋さんのサービスも含めた様式美はニッポンの伝統と呼ぶのに相応しく、目の肥えた超満員のお客様達が醸し出す雰囲気の中で、素晴らしい時間に浸ることができました。この場所は序盤から上位が崩れる中、幕尻からするするっと勝ち続けた徳勝龍が千秋楽には気迫のこもった渾身の攻めで大関貴景勝を破り、亡くなった恩師に捧げる涙の初優勝を飾りました。正に神様だって筋書きを書けないドラマ、これぞ大相撲の醍醐味です。
そんな国技である大相撲もコロナ禍の影響を受けて、春場所は無観客での開催、夏場所は戦後初の中止に追い込まれました。無観客相撲を何とか乗り切った春場所千秋楽で、八角理事長は言いました。「元来相撲は世の中の平安を祈願するために行われてまいりました。力士の体は健康な体の象徴とされ、四股を踏み、相撲を取る。その所作は、およそ1,500年前から先人によって脈々と受け継がれてまいりました。」関係者のみならず、夏場所の中止は緊急事態宣言最中の世代を超えて国民の気持ちを落ち込ませたことでしょう。そんな大相撲が、やっと帰ってきました。本来の名古屋開催は見送られ、観客は2,500人限定ですが、力士達は毎日元気な姿を見せてくれてます。(^^ゞ
朝青龍以来、モンゴル力士の全盛が続いてきた大相撲も、新時代を迎えつつあります。例えば、イケメン三銃士と私が勝手に呼んでいる遠藤、竜電、輝は館内の声援も大きく、彼らが三役に定着すれば女性ファンの支えは不動のものとなるでしょう。人気者と言えばなんといっても炎鵬が一番手、体重別のクラス分けがない大相撲独特の「柔よく剛を制す」姿が見る者にスリルと感動を与えてくれます。一方、主役を張る横綱昇進への期待と重責を背負うのは、「男梅」のような顔でズングリムックリの貴景勝と、可愛い顔で手足が長い新大関の朝乃山です。前者は分り易い押し相撲、後者は懐の深さを活かした四つ相撲と個性も正反対ですが、両巨頭として次代を担ってもらうべき逸材です。
「健康な体の象徴」である力士達が土俵上で活躍してくれる今も、暗くて不安な毎日が日本中で続いています。新型コロナウィルスという得体の知れない取組相手にやられっぱなしで、ここまでは1勝14敗位のイメージかと。でも大相撲同様、皆が白鵬のような大横綱にはなれませんが、我々だって日々の取組には負けても、場所を通じて勝ち越せば番付けはあがるのです。自らの個性である立場や職種に応じて、何度負けてもあきらめずに稽古を続け、目先の一番に集中しながら戦うしかありません。精神論は好きじゃありませんが、土俵際でもあきらめなければチャンスはあるはず。こんな時代だからこそ、皆様一緒に、「はっけよーい、のこったのこったっ!」。(T)