最近ハマっているものがある。
それは「パキスタン料理」。
私の住んでいる町にはパキスタン人がとても多い。一説には日本で一番多いとか。パキスタン人のほとんどが中古自動車に絡む仕事に携わっている。私の町やその周辺には中古車のオークション会場がいくつかあることから1990年代から集まり始めたらしい。
この街に越してきて早半年。市内でパキスタン人らしき人を見かけることはあったが、特にこちらからコミュニケーションを取ることもなく平々凡々に過ごしてきた。
そんなある遅く起きた休日、食べるものがなかったので何か外で食べようと思い立った。しかし、食べたいものが見当たらない。小一時間迷走した挙句、「そうだパキスタン料理を食べよう」と決心した。ただ、初めてのお店の初めての国の料理を飛び込みで食べるほどの度胸は持ち合わせていない。PCを立ち上げて、入念なリサーチを開始。市内で一番人気のパキスタン料理店に行ってみることにした(そもそも市内にパキスタン料理店は2店舗しかなかった)。
お店までは車で5分。外観は本格派インド料理店をイメージして頂きたい(パキスタンはインドの隣で文化が似てる)。薄暗い店内にはインドっぽいミュージカルが大きな画面でエンドレス再生されていた。店員さんは全員パキスタン人。あまりの異国の空気に混乱と後悔とちょっとの期待が入り混じりながら、着席。メニューは日本語表記の料理名だけで、字面だけ見ても一見さんにはどんな料理なのか分からない。しかし、私は事前の入念な下調べの結果、「チキンビリヤーニ」なるものがが美味しいらしいとの情報をキャッチ。冒険をしない私はもちろん「チキンビリヤーニ」を注文(日本語は通じた)。
少しして、チャーハンとパエリアの中間みたいなお米の料理が到着。きゅうりの入った(!)ヨーグルトソースをかけて食べるものらしい。一口食べると…さわやかな風味と酸っぱさと辛さが口に広がった。日本料理にはない複雑な味に、頭は混乱し味の評価のしようがない。「とんでもないものを頼んでしまったな…」と若干の後悔をしつつ食べていると、いつの間にか手が止まらなくなってしまった。何ともクセになる味なのである。あっという間に大盛を平らげてしまった。
この日、私とパキスタンの距離は、6300km(地球の半径と同じ!)から、車で5分の距離に縮まった。
パキスタンとインドの間の緊張が高まっている。両国間の問題は1940年代から続く。どうかこれ以上の対立の激化が起こらないことを祈るばかりである。(KS)