今年の抱負

先日、電車に乗ったときのこと。吊革に掴まってふと下に目を向けると、正面の座席に若い女性が座っていた。その女性は、集中した様子で膝の上に広げたノートにペンを走らせていた。そのあまりの集中した姿に興味がそそられ、私ははしたないと思いつつも、広げられたページにチラリと目線を落とした。

そのページの一番上には大きく太い文字でこう書かれていて、私は驚いた。

「フェルマーの最終定理を証明する」

フェルマーの最終定理とは数学者フェルマーが証明したと伝えられる

『3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない』

という定理のことである。この定理が有名になったのは、皮肉にもフェルマー以来360年間この定理を誰も証明も反証もできなかったからである。世の中にはとんでもない抱負を掲げる方もいたものだ。

新年を迎え、気持ち新たに今年の抱負を掲げた方も多いことだろう。私もささやかながら今年の抱負を掲げた。公表は差し控えるが、電車で出会った彼女の壮大な抱負と比べるべくもなく、私の身の丈に合った慎ましい抱負である。

1994年、数学者アンドリュー・ワイルズによってフェルマーの最終定理は証明された。長年にわたって粘り強く努力し続ければ、どんなに難しいことでも成し遂げることができると良い例であろう。私も、ワイルズや電車の彼女を見習い、掲げた抱負に向け一生懸命頑張る所存でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。(KS)

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