生産性ってなんだろう?

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ビジネスマンにとって昨今のバズワードとも言える生産性をテーマにした連載を、7月から始めることになりました。そこでふと考え込んでしまったのが、生産性ってなんだろうということ。

国レベルの労働生産性に限定すれば、GDPを平均就業者数や就労時間で除した値であり、おそらく政府が掲げる「生産性革命」とはその客観的な数字を高めることを意味しています。そのための手段としてデービッド・アトキンソンさんは「新生産性立国論」という本の中で、「企業数の削減」「最低賃金の段階的な引き上げ」「女性の活躍」を掲げており、政策的・マクロ的に見れば多分それが正解です。

一方、ミクロで経営レベルに落とし込むとどうでしょう?無論、従業員に約束した以上の賃金を支払い、労働条件改善を図りつつ、定期昇給や賞与支給を実現するためには、従業員当りの売上あるいは利益拡大は不可欠であり、私も経営者の端くれである以上いつだって頭にあります。ただ、生産性のコンセプトをそこに限定すると、企業競争力強化というのっぺっらぼうな目標しか残らなくなります。

すなわち、生産性が効率性とほぼ同義に矮小化されるということです。国全体が貧乏で衣食住に困っている時代には、それでも良かったのですが、今の時代はどうでしょう?「食品ロス」や「空き家の増加」が社会問題となっており、貧困問題はもはや分配の問題になっています。分配の公平性確保は本来的に政府の役割であり企業ミッションとは無関係です。

抽象的に言えば、生産性を正しく考える条件は分子である「付加価値」の捉え方にあります。ナイーブに聞こえるかもしれませんが、売上や利益以外の何らかの「価値」を分子に据えることで、労働生産性+αの価値を生み出さなければこれからの企業には存続意義がないのです。おそらく、議論を深めるためのキーワードは、デザイン思考、コト消費、ブランド、そしてエコが生み出す価値なんだろうと考えています。

右を向いても左を向いてもIoTやAI等新技術の話題ばかりですが、そのほとんどが効率化のための手法の域を出ていないように感じます。だからこそ今年度は、「労働生産性改善による効率化」のためにムチを打ちつつも、それ以外の部分での「生産性」について、社員達と一緒に時間をかけて真剣に考えてみることにします。(T)

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