漫画家の創造力

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 世の中が不穏で私生活でも様々ある中、なんとなく気分が晴れない日々が続いています。本を読む気力もない時、今ではNETFLIXに頼ることが出来るのは有り難いことで、昨今は「闇金ウシジマくん」というシリーズに嵌まって、眠れない夜も退屈せず過ごすことが出来ました。暴力・ギャンブル・風俗と全く楽しい話ではないのですが、その人物描写の圧倒的なリアリティと迫力は、著者である漫画家の感性と徹底した取材力の賜物です。

 アニメ化された作品では、「進撃の巨人」のスケールは図抜けています。子供の頃、小松左京さんというSF作家が全盛であり、「復活の日」や「日本沈没」といった名作が次々に映画化されていました。ただし、その映像の水準はCGが一般化した今や観るに堪えないチャチなレベルです。一方、小松氏同様の創造力を持つSF作家が壮大な世界観を背景に漫画やアニメだからこそ描けた長編傑作が、「進撃の巨人」なのです。

 ただし、いくら夢中になれても、こうした作品では幸せな気分になれません。漫画家の里中満智子氏が日経新聞の私の履歴書に書いたエピソードがあります。女性向け作品中心に活躍していた同氏はいつも世代別に作品のテーマを設定したそうですが、はじめて男性向け作品を書く際に編集者と相談したところ、「男性に世代は関係ありません。いつだってウケるのは、戦って勝つ場面です。」と言われて笑ってしまったと。

 男性読者の単純さを示すエピソードですが、私には正にドンピシャです。だからこそ、今最も嵌まっている作品が「キングダム」。戦争孤児の主人公、信が天下の大将軍を目指して仲間達と一緒に成長しながら突き進む姿は痛快そのものであり、観る度に勇気と元気をもらえます。実写映画化もされますが、ストレートなサクセスストーリーが持つ力を信じて描き続ける漫画家の創造力も借りながら、私も前向きに暮らしていくつもりです。(T)

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