「コト消費」拡大の影響・・・動脈産業ビジネスモデル転換への対応

メディア掲載

トヨタ自動車が、高級主力車レクサスの定額利用サービスを開始した。各種WEBビジネスの普及は消費者の価値観そのものに影響を及ぼしており、自動車の定額利用サービスも、「コト消費」への転換を踏まえた事業展開に位置付けられる。コト消費とは、商品やサービスを購入せずにその使用価値のみを活用したいとの消費性向を指す。特に耐久消費財については、家や自動車のみならず、腕時計や洋服等も含めて、「欲しい」との意識が所有ではなく一定期間の利用に移行している。

背景にはインターネットやIoTを活用した製品の個体情報管理手法および流通システムの高度化があり、既存制度を踏まえて活動する処理・再資源化を担う事業者側の活動にも変化が求められる。

本稿では、「コト消費」拡大がリサイクルビジネスに与える影響に関する検証を行う。

まず、メーカー等との情報共有体制強化が期待できる。メーカー側にとって定額利用サービスの前提は、当該商品のトレーサビリティ管理のみならず、利用状況等の把握が前提となる。その確認・整備に必要な情報管理は全てメーカー側の責任となる。さらに、廃棄時にはほぼ確実に次期モデルを供給する体制整備を行うため、リサイクルビジネスへの廃棄対象物品仕様情報等開示のハードルも下がることが想定される。となれば、再資源化のプロセス投入前に該当製品の組成や設計情報等が把握可能となり、一括処理プロセスの効率化や機械化・自動化の可能性も高まる。

次に、同一物品の一括集荷可能性が高まる。一部の複写機メーカーや重機メーカーを除き、自ら再生機と廃棄物の振り分けおよびリファービッシュを行うシステムを整備済みの企業は限定的である。したがって、一定の耐久年数を経た特定製品を一律的に廃棄物扱いすることになる可能性も高い。結果、廃棄物となる製品の集荷には収運許可が必要となり、既存リユース業者への引き渡しはグレーゾーン扱いとなる。こうした中、許可を有する収集運搬事業者側では、顧客を安定確保出来る点が、既存リユース業者との競合における優位性となり得る。

最後に定額利用サービスが、例えばテレビ等にまで拡大した場合、利用不可となった際の廃棄主体自体が変わる。例えば家電リサイクル法対象4品目は事業系も対象となるため、例えば型落ちの製品をメーカーが一括廃棄する際などには本来、個別製品にリサイクル券を貼付して収集運搬事業者経由で、指定保管場所に運搬する必要がある。ただし、仮にリユース目的として、修繕・販売を担う企業に譲渡を行うのであれば、リサイクル券の費用が削減可能となる。結果、その受け入れを行う企業の集荷量は急激に拡大するのである。すなわち、処理や再資源化のみならず、リファービッシュ技術や流通システムの整備を行うことが出来れば、既存リサイクルビジネスはリユースビジネスへの参入を通じて業容拡充をできるのである。

いわゆる「サーキュラーエコノミー」の実現は、人口減少とも相まって廃棄物処理マーケットの減少に直結するリスクがある。その点も踏まえつつ、処理の高度化、集荷拡大や業容拡充等を目指す姿勢が求められている。

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