「地方創生」への貢献・・・「地域産業」としての進化との親和性

メディア掲載

「地方創生」は、人口減少と都市化が急速に進展する我が国にとって実現不可欠な課題である。総論で反対する者はいないが、自治体財政逼迫や経済的効率性追求という目先の現実への個別対応のレベルでは、政治的にも経済的にも逆行する取り組みが多い。一千七百を超える自治体全てが個別に活性化することは不可能であり、都市機能をある程度集約化していくことは必然である。ただし、道州制導入等による本格的な制度改革の機運が高まっていない点を鑑みると、地域経済システムの実質的な変革を先導させることが現実的であろう。

こうした中、全国津々浦々に立地する地域産業としてのリサイクルビジネスには、その特性を活かして果たすべき役割がある。本稿では、その進化の方向性との親和性を踏まえつつ、地方を含む社会インフラ維持に貢献するためのアプローチについての検討を行う。

まずは、中間処理等施設の「大規模化」が有効である。小型家電リサイクルの認定事業者に代表される通り、効率的な再資源化には広域集荷を前提とした大規模施設での高度処理が求められる。更に焼却炉でも、エネルギー回収ニーズが顕在化しており、地域への熱供給あるいは発電等が可能な大規模施設整備が望ましいとされる。結果、自治体区画に囚われることのない安定的で魅力的な職場作りのきっかけとなり、地産地消のエネルギー供給等も可能となる。大規模災害の発生等を契機に、地域単位の自律的な都市機能確保の重要性が高まっているからこそ、大規模化を通じた一定の機能集約は避けられない。

次に、「民営化」である。廃棄物処理に限らず、上下水道等を含む都市インフラ維持は財政的な重荷となっており、PFI等による民間活力導入は自治体財政の持続性確保における喫緊の課題となっている。特に周辺自治体との広域連携が進まない過疎地では、基本的な住民サービスを提供する上で委託を通じた民間活力導入のみが現実解とさえ言える。適正な制度的手続きや公平性確保を大前提としつつも、リサイクルビジネスが民営化の受け皿になる準備や提案を進めることが求められている。

最後に、地域社会への貢献に資する事業の「多角化」も重要である。例えば地域全域をカバーする収集運搬業者には、高齢者向けの見守りやごみ出し支援に対する期待が高まっている。また、焼却時エネルギーを利用したハウス農業経営や最終処分終了地でのメガソーラー発電等、本業の領域を超えた分野で新規事業参入の事例が各地で増加している。地方部では、福祉、農業、エネルギー等の持続性が例外なく問われており、そこにこそ新たなビジネスチャンスも見出せる。

地方創生の厳密な定義は不明だが、既存地域のあり方をそのまま守り続けることではあり得ない。今年度も政府が支出する地方創生交付金として一千億円の予算が確保されているが、自治体当たりの頭割りで考えても各地の疲弊を救える水準にはない。活性化を担う主体は域内の産業であり、リサイクルビジネスはその有力候補として、具体的な貢献手法を構想すべきと言える。

201812121029170ea4.jpg

タイトルとURLをコピーしました