「センサー」普及の可能性と限界・・・品目特性を踏まえた利活用手法の導入

メディア掲載

「あらゆるモノがインターネットにつながる」IoT普及に伴い、世界中で1兆個/年、1人平均で毎年150個のセンサーが使用される社会が訪れる。センサーは各種データを信号に書き換える媒体であり、モノからの情報収集・蓄積に不可欠である。センサーに固有識別コードを振れば個体管理が可能となり、当該物品の属性や履歴等もインターネット経由で把握することが出来る。今やあらゆる業種がその活用による事業効率化と付加価値増幅の手法や実現方策を模索している。

本稿では、リサイクルビジネスにおけるセンサー普及の可能性とその限界についての検証を行う。

最もサイズが小さくて汎用性の高いセンサーは、RFID(非接触ICタグ)である。既にその価格も一個当たり10円を切るレベルに低下したと言われ、服飾店舗等では店舗での在庫管理や盗難防止を目的に急速に普及しつつある。

ではリサイクルビジネスの起点となる廃棄段階の循環資源にRFIDが埋め込まれる世界は想定出来るのか。例えば食品や日用品等一般消費財の容器包装にはバーコードが印刷されており、販売時のPOSデータ管理が行われている。無論、RFIDがその機能を代替することも可能だが、コストは確実に上がり、読取時の機能面でもメリットが認められない。

最大手通販業者がコンビニ無人化の実証を行ったが、バーコードの代わりにRFIDを利用する必然性は認められていない。消費者が既存のバーコードを読み込んだ後に支払いをスマホで済ませれば、当初目的の無人化やマーケティング面・電子決済面のメリットを享受することは出来る。したがって、消費財向けバーコード代わりにセンサーが普及する世界を想定する必要はない。

ただし、廃棄時以降にトレーサビリティ管理が必要なロットを特定するセンサーの活用には意義が見出せる。その対象は、車両、パレット、各種コンテナ、フレコンバック等の単位となり、その実現には廃棄時の情報付与が必須となる。また、その他ロジスティクス高度化手法との組み合わせによるシステムは、リサイクルビジネス側で整備する必要がある。

一方、自動車、家電製品、PC、携帯電話、家具等耐久消費財には、RFID等各種センサーの組み込みが期待されており、その積極的な活用が期待される。製品単価が高く、修繕利用やリユース販売の高度化を見据えた履歴管理の必然性は高まりつつある。更に、製造時の材料・組成等の詳細情報が予めセンサー側に埋め込まれれば、そのまま廃棄時以降の再資源化プロセスの高度化にも役立てることが出来る。

特に希少金属やレアメタル、有害廃棄物の含有情報等が把握出来れば、中間処理前の仕分け等を通じて、高度な再資源化や歩留まり向上が可能になる。この際の課題は動静脈企業間の情報連携であり、製品に組み込まれたセンサーこそが、その媒体となるのである。

あらゆる製品がセンサー経由でインターネットに直接つながる世界など来ない。どのようなロットをどのような手法でつなげて、どんな用途に活用するかが、智恵の絞りどころである。

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